俺は目を回した。それから毎日目を回して起きるようになった。
目を回して起きないよう一瞬でも早く敷き布団の動きより目覚めなければいけなくなった。
夜寝るのがちょっとしたスリルになってきた。
明日の朝は目を回されるか、さきに起きてしまえるか。
なにか面白くて、寝るのが楽しくなってきた。
次の日の朝、俺は敷き布団の動きより早く起き、無事目を回さず起きることが出来た。
なぜか今日の朝は嬉しかった。
もちろん敷き布団の動きより早く起きれたからだ。
だがしばらく日が経つと、敷き布団に転がされて起きてしまう事が起きてしまう。
そんな日は気分が落ち込む。
そんな日々が続いていった。
目覚まし時計を敷き布団が動く前にセットすればいいと思うが、おれはそんなことはしたくなかった。
なぜかそうすると味気ない朝になってしまったからだ。
そして数日後。
夜中、ふとんが異常、すでに異常だが、動きをした。
ふとんが、ゆっくりしめつけはじめた。
動きがとれない、どうしようもなく力が強い、俺はとりあえず冷静になろうと考えた。
そして朝敷き布団は俺を転がし、俺は目を回した。
俺は、朝目を回すことを必ずされることになった。
数週間後、ふとんを捨てることに決めた。
こんなふとんは必要ない、平穏な朝を迎えるため俺はそう決断した。
その日も敷き布団に転がされて起き目を覚ました。
こんなことももう二度となくなるだろう、そう思いふとんをしばらくしてから捨てに行こうとしていた。
なにかイヤな予感があったが、それでもいいと思った。
俺はふとんを捨てに行く。
ふとんを持ち上げ、歩いていく。
イヤな予感、捨てた後、どういう事態がおこるか、なにかおこるのではないだろうか。
だがそれも振り切りふとんを捨てに行った。
ふとんを捨てに行き、やれやれと思い部屋に戻ってきた。
そして部屋に入り部屋の中を見つめた。
ふとんは部屋の中にあった。
ぐるぐる、部屋がぐるぐる回った。
俺は目を回しながらふとんを見つめながら気絶した。
(了)